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(お世話になった方々からの続き)

「儲かってるか?」
「いや、まだ始めたばっかりで、、なかなか、、」

「私は今までいろんな奴の絵を見てきたけど、君はなかなかやるね」
「あ、ありがとうございます!」私はかなり嬉しくて有頂天モードだった。

「ポストカード100円だけじゃ儲け少ないし、単価も安いし、食って行けないだろう?」
「は、はい、、あの、、後で(似顔絵描いてる所)見に行って良いですか?」
「ああ、いつでもおいで。」

憧れの人と初めて会話した瞬間でした。




その日、私は路上の売り上げもそこそこだったので、少し早めに
露店をたたんで、少し離れたAさんの似顔絵の「シマ」に
差し入れの缶コーヒー持参で出かけました。

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Aさんのシマは大人気でした。
リアルタッチで描かれた有名人やタレントの似顔絵、
お客さんを和ませながら20分そこそこで出来上がる似顔絵

私はAさんの邪魔にならないように後ろからそっと描く工程を見てました。
驚いたのは、アタリ(十字線や卵形)をまったく描かずに目の際から
描き始めることです。後で聞いたら長年やってるともう自分の中にアタリが出来上がっていてそれをお客さんの目鼻立ちとかに合わせてチョイスしてるとの事でした。

お客さんも引けてきたのでAさんと話をしました。
Aさん:「美大出てるのか?」「いえ、独学です。」と私
「油彩や水彩とかはやらないの?」「やってみたいですけど、今は鉛筆、色鉛筆だけです。」
「似顔絵は?」「猫しか描いたことなくって、、ささって描けないですよ、そちらみたいに。」
「ふーん、でもさ、ポストカード100円だけだったら利益も単価も低いし、あんま儲からないだろ?
もう少し絵を大きくして額に入れて

何千円とかで売れば単価も利益も上がるし、

食っていけるんじゃねえの?」


単価、利益、食っていく、、今まであまり考えてなかった事柄に
私は少し面食らいました。
「利益とかそんなのあまり考えてなくて、、とりあえず見てもらえたら嬉しいし、買ってもらえたら少しは生活費の足しになるとか思って、、」

「あ、の、な、そんなとりあえず見てもらえたらとかそんな中途半端な考えで路上やるんだったら、止めたほうがいいぞ。」
少しむっとした表情でAさんは続けます。
「よく若い子が君みたいな考えで『とりあえず見てもらえるだけでも良いんです』とか言って路上始めるけど、まず売れないし見てもらえないね。大体3日で居なくなるし。」
「そんな奴に限ってまったく基礎が出来てないし、悪いけどへったくそだし、何で売れないのか考えないし努力しようともしないね。
そんな連中はさ、個性とか、路上アーティストとかそんな言葉に酔ってるだけじゃねぇの?」

「額に入れて数千円とか自分の絵じゃ売れないとか思ってるかもしれないけど、君の作品はそれ以上の価値があると私は思うし、お客さんもお金を出して買う価値があると思ったら絶対買ってくれる。」

「お客さんは見てるようで見てない

し、

見てないようでちゃんと見てるよ。」


「あと、描いてるところも見せたほうが良いよ、君のような細密画だと本当に描いてるのか信用しない客も居るし、時間のかかる絵だから私みたいにその場でさっと出来上がらないのなら、

注文とってペットの肖像画とかで発送す

れば良いじゃん」


「やるのなら本気でやりな」

「私はだいたい1日これくらい売り上げがあって、月何日稼動で
これ位収入があるよ。リーマンよりよっぽど稼いでる、でも、絡まれたり、内地じゃ893とか来ていろいろあったけどね(笑)」

Aさんの言葉にはハッタリじゃ無い長年の経験に裏打ちされた厳しさと
自信がありました。
実際、いつ見てもそれくらい売れてましたしね。

本気でやってみよう、、。
そう思いました。私は露店の商品の配列とかも工夫し、安くて見栄えの良い額を仕入れて、「ペットの肖像画お描きします」とかプレートを作って色々工夫しました。勿論、絵ももっともっと努力して描きました。

それに従い、注文も入り、売り上げもどんどん上がっていきました。

「絵で食っていけるかもしれない、、、。」
バイトや就職の面接行く度にナイチャーだから落とされて、
そのたびに凹んで不安になるより、自分に向いてるのかもしれない。

路上から、地面から上に向かって歩いていこう。

そう思ったきっかけを与えてくださったのがAさんでした。

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